2011年12月11日日曜日

ジョージ・オーウェル 『動物農場』

痛烈な全体主義への批判を描いた小説として名高い『動物農場』。なんとも後味の悪い小説である。
人間に支配されていた牧場の動物たちが、革命を起こして人間を追い出し、豚の指導の下で「動物主義」に基づく「動物農場」をつくりあげる。平等を旗印に、誰にとっても理想的なユートピアの実現に進んでいたはずだったが、やがて豚の専横的な政治権力の行使に、気づけば支配者が「人間」から「豚」へ変わっただけの有様に―。

この小説には、考えることを放棄したかのごとく豚に従う羊と、「わしが働けばいいのだ」が口癖の働き者の馬が登場するが、どちらもまるで自分のことのようで嫌になる。というのも、会社組織の一員として働いていると、感情の軋轢をおさえ、がむしゃらに手足を動かさなくてはならない時が、しばしばあるからだ。そして、得てしてその方が「らくちん」なのだ。その時、社会組織という不確かな存在の大いなる不条理と、隷属によって得られる安堵感を覚える。

不景気が叫ばれる今の世の中-、2000年代はじめに充満していた漠然とした不安感は、いよいよもって現実味を帯び、年金だ晩婚だ少子化だ老老介護だなんだと、圧迫感をもって襲ってくる。ニートやらワープアやら名ばかり店長やらという言葉が生み出され、その言葉の背景には、社会構造の犠牲者がいるのだ。 得体の知れない制御不能な化け物のような「社会」。いつだって、目をそむけるわけにはいかないのだ。

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