幸田露伴の娘として生れ、早くに実母と死別した幼い文。愛したい、愛されたいという欲求に対し、なんとか冷静に応じようとするけれど、時々乱れてワンワンと泣きわめいてしまう幼い魂に、とても共感する。特に、自分を里子に出すという継母と父親の会話を聞いてしまった文が、菜の花畑でいやだいやだと泣きわめくシーンが印象的。強がっていた文の本音に、思わず泣いた。高い気位と感受性は、意固地な劣等感に拍車をかけてしまいがち。その寂しさや恥ずかしさを、冷徹に文章にすることが出来る幸田文は誠実な人だと思う。
そして、けして憐みは乞わない。むしろ愛されない自分を冷静に見つめる。しかし、やはり時々乱れる。乱れとは感情の昂り。そこが、私は大好き。
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